Aira's bookshelf

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書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

エラリー・クイーン編『世界傑作推理12選 & One 』

(読了日:2018年7月31日)

エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー「「魚捕り猫」亭の殺人」

妻マーゴを亡くして以来、自ら経営するレストランの賑わいまで失ってしまったジャン・ピエール。そんな淋しい彼の心の友は、店の水槽で長らく飼ってきた鰻のフィリップだけだったが、ある日ついに鰻料理を注文する紳士が現れて… アメリカを代表する詩人である作者が書いただけあって、主人公の心情や行動が緻密に描かれており、抒情的な文章も多い。ミステリを読んでいることを忘れそうなほど柔らかな雰囲気が漂う。のんびりとした展開の後、友人である鰻を捌く必要に迫られたことで急に主人公の思考が乱れ始めるところが見もの。読了ツイートを書くうちに面白みが倍加したように感じる作品がたまにあるのですが、今回の鰻の話がまさにそれでした。

リチャード・コンル「世にも危険なゲーム」

熟練した船長も恐れて多くを語りたがらない不吉な島の近くを航行中に銃声を耳にして驚きのあまり海に転落した冒険家レインズフォードは大きな建物の聳える謎の島に漂着する。無言の大男に案内された屋敷でザーロフ将軍なる男から手厚い歓待を受けるが… 島から脱出するには将軍の仕掛けた「ゲーム」に参加せざるを得ない状況に追い込まれたレインズフォードが繰り出すあの手この手を描くサバイバル劇。退屈ではないものの、どこかスピード感に欠けていて、スリルの度合いが低いのが難点。ラストの意味するところもよくわからなかった。

アガサ・クリスティ「うぐいす荘」

「夜鶯荘」として既読につき、読了ツイート省略 (ブログ記事なし)

トマス・バーク「オッターモール氏の手」

既読につき、読了ツイート省略 (ブログ記事なし)

ヒュー・ウォルポール「銀の仮面」

既読につき、読了ツイート省略 (ブログ記事なし)

ドロシー・L・セイヤーズ「疑惑」

既読につき、読了ツイート省略 (ブログ記事なし)

ベン・ヘクト「情熱なき犯罪」

弁護士ヘンドリックスは半年間付き合った踊り子ブラウニーに別れ話をした際、逆上して暴れた彼女を真鍮の燭台で殴り殺してしまった。彼は弁護士としての知識と経験を生かしてアリバイ作りに奔走するが… 主人公の内面の声がくどくどしくて途中で飽きてしまった。

ウィルバー・D・スティール「人殺しの青」

人を殺したとの噂がある馬を格安で購入して農場に戻ってきた長兄ジムが、その夜早速その馬に襲われて命を落とす。山へ逃げ込んだ馬を次兄フランクが仲間とともに追いかけるが… なぜ推理小説として扱われているのか理解できない作品だった。消化読書。

スタンリー・エリン「特別料理」

既読につき、読了ツイート省略 (ブログ記事なし)

シャーロット・アームストロング「敵」

愛犬ボーンズを毒殺したのは近所に住むマトリン氏だと信じ込み、憎しみの気持ちだけでいっぱいになってしまっている少年フレディとその友人たち。彼らが成長するには事件の真相を自分たちの目で確かめるべきと感じたラッセル弁護士が考えた捜査方法とは…?最初から最後までラッセルの職業について一言も言及されず、ずっと「この人は一体何なの?」とモヤモヤさせられた。彼がアームストロング作品によく出てくる弁護士だと全く知らなかったので。終始物腰が柔らかいのはいいけれど、たまたま現場近くに居合わせただけにしてはあれこれと仕切りすぎな印象。

ジョー・ゴアーズ「ダール アイ ラブ ユ」

国防総省テレックス・オペレーターとして働くチャーリーは毎日遅くまで残業してタイプの練習に打ち込む真面目な職員だったが、ある夜「コドクナ チャーリー ワイアス」という謎のテレックスを受信した瞬間から彼の人生が大きく動き始め… 何と切ない!テレックスだけでしか交流できない相手にどんどん惹かれていき、いつの間にか心も行動も支配されてしまう孤独なチャーリーが切ない。彼の将来に幸あれ… と応援しながら読んでいたら、最後にガツンとショックを受けるはめに。顔を知らない相手との SNS に慣れ親しんだ世代の人たちに読んでもらいたい。このアンソロジーで一番興奮した一篇になる予感。

ロバート・ブロック「ごらん、あの走りっぷりを」

番組降板をきっかけにアル中になってしまった放送作家ノーマンは精神科医モスに勧められて日記を書き始める。催眠療法などを経て自らの暗い過去の記憶が甦ってくるが… 主人公の内面の崩壊がもっと日記の文面に顕著に表れると怖さが増したかも。日記形式の短篇といえばバーバラ・オウエンズ「軒の下の雲」が強烈。それと比べると、今回のブロックの作品の怖さは 1/10 くらいかな。どうせならもっと「ヒィィィ!」となるくだりがほしかった。

エラリー・クイーン「三人の未亡人」

ピネロピとライアラの未亡人姉妹は裕福な父のもとでのびのびと暮らしていたが、父が後妻を迎えてからは彼女との諍いが絶えない日々を送ることに。父の死後、後妻に毒が盛られる事件が発生し… 謎解きクイズ付き。編者の貫禄でアンソロジーを締めくくった。本格推理小説を書くのに長さは全く問題にならないことを見事に示したショートショート。ギュウギュウと要素を詰め込んだ窮屈な印象はまるでないのに中身が濃くて満足度も高い。生焼け肉にかぶりついている最中に犯人を思い付いて大興奮するエラリーが微笑ましい。

世界傑作推理12選&one (1977年) (カッパ・ノベルス)

世界傑作推理12選&one (1977年) (カッパ・ノベルス)