Aira's bookshelf

書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

エド・ゴーマン編『死の飛行 現代ミステリーの至宝 (2) 』

(読了日:2022年4月4日)

シャーロット・マクラウド「マーティンのように」

何かと相手を思い通りに動かそうとする姉マーティンを疎ましく感じるベッツィは、渋々と姉の助言に従ったのが災いしてケガで入院するはめになり、マーティンがベッツィの夫と子供の世話を始めるが… 夫婦間の行き違いが氷解するラストが温かい。

サラ・パレツキー「スキン・ディープ」

友人の妹でエステティシャンのエヴァンジェリンが常連客の男性を殺害した容疑で逮捕された件を調べるうちに探偵ヴィク・I・ウォーショースキーがたどり着いた真実とは。ヴィクのサバサバした性格や度胸は好みだが、ミステリとしての出来は物足りない印象。

ジョーン・ヘス「死体のお出迎え」

予定より数日早く出張を終えて帰宅した書店主クレアは、リビングに横たわる若い女性の死体を発見する。恋人である警部補ピーター曰く彼女は麻薬の売人と付き合いがあったようで… 証拠からすぐに犯人が確定。これといった捜査もなく解決するところが期待外れ。

フェイ・ケラーマン「しつけのいい犬」

高級リゾート地のプライベートビーチ付き集合住宅で偏屈な老人が気性の激しい犬を飼い、ビーチの半分を独占し始めたことにより、びくびくしながらの不便な生活を強いられ始めた住民らの間に徐々に不満が募っていく。皮肉がピリリとよく利いた結末にニヤリ。

マーガレット・マロン「不可能な銃劇」

警察署内で鍵をかって保管されていたはずの銃から発射された弾丸がめり込んだマッケンという男の死体が見つかった事件で、鍵の唯一の持ち主であるボイル巡査が容疑者となってしまい… ポンコツすぎる検視官に思わず失笑。犯人の考えもお粗末で、うーむ……

エド・マクベイン「死の飛行」

小型機墜落事故で妹を亡くした男エリソンの依頼を受けて事故現場を調べに出かけた私立探偵デイヴィスは、早々に何者かによって狙撃され… 金目当てで動きそうな怪しい人物が複数いる中で、ひたすら足を使って地道に糸を辿ってゆくデイヴィスの探偵くささが好み。

ジョー・ゴアズ「サン・クエンティンでキック」

お金の苦労とは無縁の友人が何か今までにない強い刺激がほしいと言い出したため、一緒に刑務所で死刑執行を見学することになった主人公による回想が綴られる短篇。毒ガスによる生々しい死刑の様子が友人の価値観と人生を狂わせる。苦々しい読後感。

クラーク・ハワード「ホーン・マン

既読につき、読了ツイート省略

エドワード・ブライアント「彼女のお出かけ」

夫と口論して苛立ちを抱えたまま買い物に出かけたデラは、モールの駐車場で見かけたマナーの悪い車に警告のメモを貼り付ける。するとガラの悪い若者たちに囲まれてしまい… そもそも自業自得なのに正当防衛と称して次々と人を殺すのはただただ不快。

F・ポール・ウィルスン「顔」

美女が顔の皮を剥がれて殺される事件が相次いで発生。ハリソン警部補は現場で不思議な気配を感じて以来、なぜか犯人との間にある目には見えないが確かな糸のようなものの存在を強く意識し始め… ものすごい衝撃作。異形に生まれついた少女と暗い過去を持つ警部補の人生が交錯することで新たな方向へ動き出し、微かな光が見えるものの… もう少しで明かされそうになった事実を明らかにしないことで、より一層不気味さが募り、いたたまれない読後感を生む。奇妙な味が好みな人は一読すべき名作。

ジョン・ラッツ「稲妻に乗れ

既読につき、読了ツイート省略

ナンシー・ピカード「いつもこわくて」

都会に慣れた独身女性ジェインは、おばから相続した小さな片田舎の農場での暮らしに馴染めず、常に孤独と恐怖に苛まれ始める。彼女にとって唯一の心の避難所は近所に住むシシーだったが… 周囲に草原しかない一軒家の恐怖と人への過剰な依存が生む悲劇。