Aira's bookshelf

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書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

ハンス・ステファン・サンテッスン編『現代アメリカ推理小説傑作選 3 』

(読了日:2020年1月17日)

マイクル・アヴァロン「隣家の拳銃」

主人公ナンは、家の周りをうろつく不審者に備えて銃を買ったという話を隣人ジョーンから聞き、不吉な予感を覚えるが…

ロバート・ブロック「触れてはならぬもの」

インドで映画を撮影中の俳優ハーマンは、地元民に対する偏見に満ちた態度をとり続け、仕事仲間を困惑させている。国王マハラージャから食事に招かれた際にも、その態度が改められることはなく…

ティーヴン・ボンド「チャイナタウンの夜」

花屋を営むアー・ゴイの娘リーが何者かによって乱暴された挙句に殺害された。刑事ジミーは目撃者の証言を元に容疑者を見つけ出し…

ウェンゼル・ブラウン「傷痕」

画家志望の美男子ホワイトヘッドと作曲家志望の醜男ディンゼは以前から互いの才能を認め合う関係ではあったが、先に成功を収めたホワイトヘッドに恋人を奪われたことで、ディンゼは恨みを募らせていき…

ジェイムズ・クロス「弱き器」

歌手ジェフと後妻リンダが飛行機事故で死亡。夫婦が同時に死亡した場合、妻の方が先に死亡したと見なされる法律に従うと、ジェフの息子の保護者である先妻ニコールが多額の遺産を相続できることになるのだが…

ドロシー・サリズベリ・デイヴィス「失われた世代」

ある教師を殺すという非公式の任務を負った刑事トムは、その仕事を難なく片付けるが、殺した教師の息子が失踪する事件が発生し…

ミリアム・アレン・デフォード「人生のひとこま」

百万長者である元夫からの離婚手当で生活する女流作家ラリッサのところへ、彼の元妻ゲイルと友人ヒューゴーがやってきて、ラリッサとの結婚はそもそも無効だったと主張し始め…

リチャード・デミング「黒帯」

美容室を経営しながら裕福な生活を送る男シンガーは、なぜか治安の悪い地区ばかりを選んで暮らし、たまたま遭遇した強盗を柔術で殺すこと数回。過剰な正当防衛で殺しを楽しんでいるのではないかと警察は疑うが…

スタンリー・エリン「質問」

伜の質問」として既読につき、省略。

ジョーゼフ・N・ゴアズ「油断は禁物」

学生過激派のエリックが爆破工作に失敗して大怪我を負って入院してしまう。作戦に悪影響が及ばぬよう、エリックの親友ロスが彼を病院から連れ出す役割を組織から命じられるが…

モリス・ハーシュマン「エデンの園の殺人」

電気も水道も通っていない渓谷で文明から隔絶された暮らしを営むヒッピーたちを訪問したきり姿を消してしまった電気製品会社重役を探しにやってきたサム・ダンは、ある小屋を借りて調査を進めようとするが…

エドワード・D・ホック長方形の部屋

既読につき、省略。

パット・マガー「正義は高くつく」

隣で眠る妻の悲鳴で悪夢から目覚めたチャールズは、次の瞬間、部屋に忍び込んでいた強盗によって、彼女が銃で撃たれるのを目撃する。犯人と取っ組み合いになったチャールズは、肩を撃たれて気絶してしまい… いわゆる「巻き込まれ系」もしくは「理不尽系」ミステリかと思って読み進めるも、ははぁん、そういうことだったのか!とすっきり腹落ちする結末にニヤリ。潔さの感じられる片付け方が爽快。

アーサー・ムアー「グロッケンシュピール大作戦」

競馬で大損して金欠となったアルバートは、よりにもよって悪党が取り仕切る馬券売り場から盗んでしまった40ドルを工面すべく、希少価値がありそうな古い楽器を質屋に入れる作戦を立てるが…

チャールズ・ノーマン「笑う男」

平凡な人々が暮らす平凡な街でナイフによる通り魔殺人が発生する。次の標的となったのは、不仲の母親と大ゲンカの末に家を飛び出し、夜遊びをしていた少女で…

パーシー・スパーラーク・パーカー「酔っ払い殺し」

何者かによって射殺された友人ポップスの葬儀を出してやったホテルオーナーのブルは、ポップスが持っていた謎の包みを狙う二人組の男たちから殺されそうになり…

J・F・ピアス「ホット・タマーリ殺人事件」

メキシコ人街にある食料雑貨店を営むフアン・ディエゴは、手作りのタマーリの美味しさに感銘を受けた外国人男性客が親しげに声をかけてきたところをいきなり射殺した罪で裁判にかけられるが…

ビル・プロンジーニ「ろくでなしの死」

老婆ひき逃げ事件をたまたま目撃した元英文学教師チョーサーが浮浪者らしからぬ大金を持ったまま殺された件を調べてほしいと、彼の友人で元弁護士のネロから頼まれた「わたし」は…

名無しの探偵と警部補エイバーハートの関係が熱い。立場は違えど、互いの仕事ぶりには一目置いている二人の絆がよい。ネロの人間不信を何とかしたい一心で無償の働きを見せる探偵の真っ直ぐな正義感がたまらない。

エラリイ・クイーン「実地教育」

教え子たちが犯罪に手を染めていることを知った高校教師ミス・カーペンターは、警察に通報する代わりに、エラリイに相談を持ち掛け、犯罪がいかに卑怯なものであるかを教室で語ってもらえないかと依頼したところ…

ヘンリイ・スレッサー「心配性の男からの手紙」

物理学者リチャードは、シカゴに婚約者アビイを残し、ニューヨークでの学会に参加している。水爆作りに加担した罪悪感を捨てた今、君と過ごす未来への希望で胸が一杯だと綴った手紙をアビイに送るが…

ローレンス・トリート「追いはぎのM」

殺人課警部補デッカーは60回目の誕生日を迎えて感傷的になっていた。昔、初めて犯人を捕まえた場所を訪れると、その日の朝に報告書が上がってきたばかりの盗難車を偶然見つけ…

ドーマ・ウィンストン「死の旋回」

ニューメキシコの大地でつましい生活をするジムは不仲の弟ケルシーに頼まれ、彼を車で近くの街まで連れていく。たまたま入った酒場で飲んでいた二人の若い女性観光客をケルシーが巧みな話術で魅了し、四人で一緒に自宅へ戻ったものの…

長年にわたって、成功者である弟の陰で劣等感を味わい続けた兄が一線を越える劇的な瞬間を、ニューメキシコの渇き果てた土壌、容赦のない日差し、ハゲタカの不吉な羽音といったものが直感的に訴えてくる効果とともに、力強く印象的に描いた作品。読後しばらくジーッと座ったまま、ジムの心の闇の深さについて考え込んでしまった。