Aira's bookshelf

書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

ピーター・へイニング編『ディナーで殺人を (下) 』

(読了日:2021年4月30日)

G・B・スターン「唐辛子の味がわからなかった男」

主人公フランツがドゥニーズという伝説のダンサーをめぐってライバルのフアンと鞘当てを繰り返した頃の思い出を語る。どうやってフアンに勝ったのかが見せ場だが、フランツの軽率な行動と不謹慎な態度に不快感しかなく、モヤモヤして終わった。

ロジャー・ゼラズニイ「最後の晩餐」

偶然見つけた隕石から作った塗料で仕上げた傑作「最後の晩餐」に描いた男に心を操られてしまう画家ピーター・ホールシーを描く。操る側の男は、かの有名な「裏切り者」と思われるが、一部よくわからない台詞があった。究極の目的は何だったのだろう?

アガサ・クリスティ「二十四羽の黒ツグミ

友人「火・金に必ず同じレストランに同じ物を食べに来る老人いる」→ウェイトレス「この前は月曜にやってきて全く違う物を食べて帰った」→友人「例の老人がパッタリ店に姿を見せなくなった」→ポワロ「何かあったな…」緻密な伏線の回収がさすがです。

H・C・ベイリー「長いメニュー」

行方不明の二流画家ファーカーのポケットに残されたフランス料理の長いメニューと、その裏に描かれた悪魔の顔のスケッチの謎を解くべく、探偵フォーチュンと警視デュボワが奔走する。いくつもの謎が連なっていく奥行きある展開が上手いがスッキリしない点も多い。

ニコラス・ブレイク「暗殺者クラブ」

暗殺者」として既読につき、省略。

ロイ・ヴィカーズ「ふたりで夕食を」

何年にもわたり特許料を詐取していた弁理士エニングズを刺殺した発明家のヨールは、ある女性に上手く罪を被せられるはずだと確信し、あえて自ら警察へ出向いて証言を行なうのだが… 物腰の柔らかいレイスン警部がジワジワとヨールの隙に迫りゆく過程が快感。

マイケル・ギルバート「ニシンのジャム事件」

終電後の人気のない駅で広告ポスターを次々に破るという奇行に及んだダックワース氏の意図とは? 彼が探している「ニシンのジャムをどうぞ」のポスターはいずこ? そもそもそれは実在するのか? ギルバートの遊び心が感じられる軽妙なノリの一篇。

ローレンス・G・ブロックマン「ディナーにラム酒を」

スターキー夫妻が主催したディナーの席で招待客の1人である男が急死を遂げる。調べてみると男の正体はダイヤモンド窃盗容疑で手配中のオットーであり… コーフィー医師とリッター警部補がお互いの仕事に一目置きながら協力し合う姿が爽やか。

ジョルジュ・シムノン「競売の前夜」

農夫グルーが農場を競売に出す前夜、落札を希望して大金を持参した遠方からの客ボーシェンが宿屋の部屋で殺された。通報を受けたメグレ警視は、現場にいた人物に事件当夜の状況を何度も何度も再現させるのだが… 犯人の心と姿が痛々しく、切なさが漂う結末。

レックス・スタウト「ポイズン・ア・ラ・カルト」

「毒薬ア・ラ・カルト」として既読につき、省略。

ロアルド・ダール「おとなしい凶器」

既読につき、省略。

 

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