Aira's bookshelf

書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

The Body Upstairs (1935)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介)

Story

刑事ガルブレイズは、自宅で入浴していたところ、天井から血が滴り落ちてくることに気付く。上階の部屋へ立ち入ってみると、そこにはアイロンで頭を殴られて即死したと思われる女性の死体があり…

Aira's View

ウールリッチは、警察の人間が異常なまでにサディスティックな行為を公然と行う場面を多々描いており、それが彼の作品を彩る特徴の一つとなっている。本作においても、自白の強要、誤認逮捕、身体的・精神的暴力といった、刑事の残酷性の描写が目立つ。

Spanish―And What Eyes! (1935)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介)

Story

大学生ロディは、21歳になる前に米国人と結婚したら叔母から200万ドルの遺産を相続できる権利を有する立場にあったが、彼が好きになるのは外国人の女性ばかりであった。そうした事情を知った悪女ウクレレは、友人ドリーを巻き込んで、ある作戦を実行するが…

Aira's View

若さゆえ後先を考えずに恋に落ち、大急ぎで将来を決めようとする学生たちを描いたドタバタなロマンス小説。ウールリッチのことだから、皮肉に満ちた結末で締めくくったのだろうか。それとも…?

 

Murder in Wax (1935)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介)

Story

妻を捨てて別の女性とともに生きていこうと、ある男が決心した矢先、何者かによってその女性バーニスが殺されてしまう。そして、よりにもよってその男が殺人犯として逮捕、死刑宣告を受けてしまい…

Aira's View

殺された女性の名前は 1932 年の長編『マンハッタン・ラブソング』に登場する女性バーニス・パスカルと同じで、主な筋立ても同作と似通ってよっている。ただし、本作は男の妻の目線から語られており、最後にはやや無理矢理な感じが否めないツイストが待っている。ウールリッチが一人称で女性キャラクターを描いた初めての作品。