Aira's bookshelf

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書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

ビル・プロンジーニ & ジョー・ゴアズ編『現代アメリカ推理小説傑作選 1 』

(読了日:2019年7月12日)

ダン・J・マーロウ「第二の人生」

死刑執行日が近付く中、当の死刑囚である自分よりもひどく精神的に追い詰められていく看守レイモンドを不思議に思う主人公は、臓器提供の意思を神経外科医に伝えた後、銃殺隊の待つ庭へ向かい… 何となくの予感が最後の一言で決定的になるのが気持ちのよいショートショート

ポーリン・C・スミス「やっかいな錠剤」

不仲のクレンショー夫妻のもとで働く家政婦ガートルードの悩みは、夫妻がそれぞれ持病治療のために飲んでいる白い錠剤があまりにもそっくりなことで…

ジョン・D・マクドナルド「悪い奴ほどよく眠る?」

キーガン警部が酒を片手に知能犯逮捕の様子を自慢げに語って聞かせる相手の「先生」とは…

ジョン・ラッツ「絵は知っていた」

妻のいかがわしい写真をネタに強請りを受けたポールは、大金を払って取り返した写真を自宅に保管していたが、そのことを運悪く強請り屋に知られてしまい…

ジェサミン・ウエスト「ジュリアのための夜景画」

血まみれになった裸足で必死に夜の街を走り回るジュリアは、一体何から逃げているのか…

ティーヴン・R・ノヴァク「訊問を終ります」

わが子のように可愛がってきた孤独な少女から恋人の子を妊娠したことを告げられた電気店主ウィリアムは彼女を元気づけようと手作りのテレビを届けに行くが、そこで彼女の死体を発見、無実でありながら逮捕されてしまい… 会話文のみで展開する超短編。無実にもかかわらず被告となって裁判で証言する道を選んだウィリアムと弁護士ブキャナンの真意が明らかとなる終盤の面白さを、ショートショート好きの人にはぜひ味わってほしい。会話文のみでも登場人物の人となりがくっきりと浮かび上がってくるところにも筆者の力を感じた。

ウィリアム・F・ノーラン「交通違反

夜を徹して速度違反者の取り締まりを行うオートバイの男は赤い点滅灯の下を猛スピードで駆け抜けていった車を追いかけて… 久々に出会った SF ショートショートで背筋を寒くする快感。脳内 BGM は大ヒット SF 映画のテーマ曲。ででん、でん、ででん…

ベティ・ブキャナン「ハリウッドの足型」

チャイニーズ・シアター前に飾られている往年の女優ドリーナの足型が撤去されそうだと友人から連絡を受けたかつての名監督ハーマンは…

ハーラン・エリスン「眼の時」

入院中の退役軍人シドニーの前に、盲目の美しい女性ピレッタが現れる。かつての彼女はモデルとして名を馳せていたが、とある秘密結社と関わりを持ったせいで…

エドワード・ウェレン「顔の値段」

クラブに来た女性客に次々とお金を渡しては相手が身に着けている靴やら下着やらを譲り受けるという奇妙な行動を繰り返している男パーリーの目的は…

エドワード・D・ホック「密室のレオポルド警部」

自分の人生が狂ったのはすべてレオポルドのせいだと信じ込んで恨みを募らせてきた元妻モニカ。姪ヴィッキイの結婚式で警部と再会するや否や、会場の隅にある鍵付きの小部屋へと呼び出して… ホックが最も気に入っているレオポルド作品ということで、たしかによく練られた味わい深い一編だと感じた。レオポルドがフレッチャーを相手に初めて離婚歴を口にする場面からグイッと引き込まれ、エンターテインメント性の高い謎解きの過程を楽しめる。上司・同僚・他部署の職員との交流を通じて、ますますレオポルド警部を魅力的に感じられるようになった。大好き。

ウィリアム・E・チェインバーズ「汝を消さば」

ソーシャル・ワーカーとして独り立ちした娘モニカのアパートを訪ねたスターンは、そこへ偶然やってきた黒人男性トッドが彼女と仲睦まじくする姿を見せつけられて…

ドナルド・E・ウェストレイク「上には上」

詐欺師ジャドは、街で偶然すれ違った男ダンが同業者であることを見抜き、互いに仕事がしやすくなるように縄張りを分け合うことで話をつける。やがて親しくなったダンから鉱山に投資する話を持ちかけられ…

ジョー・ゴアズ「裏切りの縄」

植民地主義の政府に抵抗するゲリラの一員であるシカリアスは、組織のリーダーとの交渉を望む立法府の役人から頼まれて会合のお膳立てをすることになったのだが…

スタンリイ・エリン「ロバート」

あと二年もすれば悠々自適な隠居生活を迎えられるベテラン教師のミス・ギルディは、授業中ずっと上の空にしている生徒ロバートの様子が気になり、ついには彼を問い詰めてみたところ…

ヘンリイ・スレッサー「ママの幽霊」

見世物の失敗続きで落ち込む興行主レイモンドは、突然目の前に現れた母親の幽霊から「何か手伝えることはないか」と尋ねられ…

S・S・ラファティ「頭皮剥ぎ殺人の謎」

植民地の交易所で働くステンプルの娘婿になるはずだった男が頭皮剥ぎ殺人の犠牲となってしまう。嫉妬が犯行の動機と思われたため、娘に求婚したことのある原住民たちを全員呼び集めたところ…

エリザベス・A・リン「神のお召し」

家族を亡くした人をインタビューを放送して寄付金を集める番組の司会者グラネリとともに働くカメラマンのクリスティは、以前から彼の仕事ぶりに不信感を抱いていた。ある日、彼女に誘われて取材現場へやってきた恋人ポールが不慮の事故に巻き込まれてしまい…

レン・グレイ「クリケット・クリークのかわいいおばあちゃん」

ラルフが働く保険会社へ面接に来た初老女性メイベルは非常に優秀なタイピストだとわかり即採用が決定。人柄も良くすぐに皆の人気者になったメイベルだが… あっと驚く展開の先に待つ見事なひねりに「あっ!」とつい声が出た。

アントニー・バウチャー「何にだって慣れる」

元絞首刑吏アロンゾは、絞首台に不具合が生じたために連続殺人犯ワイズに対して刑を執行し損ない、それがきっかけでワイズが後に赦免されることになったという過去を未だに苦々しく思っており…

エラリー・クイーン守銭奴の隠し金」

質屋を営む老マラキが「全財産… 400万ドル… この建物の中に…」 と言い残して亡くなったため、弁護士や遺言の証人たちは質屋の店内をくまなく探し回るが…

アーサー・ムーア「川で釣った女」

ラルフは、鉄橋の梁の上で全身ずぶ濡れになっている女性を見かける。自殺に失敗したか何かだろうと思い、自分のアパートへ案内したのだが… 一人称で淡々と語られる結末が唐突で笑いを誘う。

ジェイムズ・ホールディング「手袋をはめた手」

「最後の決め手」として既読につき省略。ブログ記事なし。

ジョン・ディクスン・カー銀色のカーテン

既読につき省略。

ジョー・L・ヘンズリー「最後のドアを閉めよ」

不良少年にナイフで切りつけられた際の傷が原因で車椅子生活となったウィリーには、ある特殊な能力があり…

アルバート・F・ナスバウム「贋札を売る男」

バーで見かけた羽振りのよさそうな男に、どこからどう見ても本物にしか見えない巧妙な贋札を額面の半額で買わないか、と取引を持ちかける主人公の狙いとは…

ジーン・L・バッカス「妹とわたし」

大好きな父親が家政婦エレノアと恋仲になり、結婚まで考えていることを知った双子の姉妹クララとセリア。見た目は瓜二つでも、父親に対する愛情の示し方は全く異なっているようで…

リチャード・エリントン「さよなら、コーラ」

22年も連れ添った妻コーラに突然去られて傷心のカーターは「犯罪組織から命を狙われている弟グレッグを何とかして助けたい」と友人のトミーから相談され、しばらく考え込んだ末に一肌脱ぐ決意を固め… 収録された30作中で最も胸に沁みた傑作がコレ。妻や友人に対するカーターの思いの強さにジーンときて、読後はしばらくポーッとしてしまった。これだから本読みはやめられないのだな。こういう味わいのあるショートショートともっともっと出会いたい。そのためにもっともっとたくさんのアンソロジーを読みたい。心からそう思った。

ビル・プロンジーニ & バリー・マルツバーグ「十一回目の殺人」

ケナーは青酸カリ入りコーヒーを妻に飲ませた後、二本立ての映画を観に出かけるが、家に戻ってみるとなぜか妻は生きていて…

ジャック・リッチー「デヴロー家の化け物」

100年近く前からデヴロー家の屋敷の周辺でたびたび目撃される毛むくじゃらの化け物は、現在の当主ジェラルドの大叔父レスリーと何か関係があるようで…

現代アメリカ推理小説傑作選〈1〉 (1979年)

現代アメリカ推理小説傑作選〈1〉 (1979年)