Story
結婚式を終えたばかりの部長刑事ブラッドフォードは、新妻ラミーとともにマンハッタン発の夜間定期連絡船に乗り込む。あまりに地味な新婚旅行にすっかりヘソを曲げてしまった妻を相手に四苦八苦していると、船内に女性の悲鳴が響き渡り…
Aira's view
挙式を済ませたばかりというのに、早くも年下妻の尻に敷かれ、彼女のご機嫌とりに苦労するも、船内で女性の悲鳴を耳にした途端、刑事としての本能が目を覚まし、まるで別人のように生き生きし始める主人公。
刑事としては優秀でも女性の取り扱いは不得手なブラッドフォードの不器用さをユーモア混じりに描いた部分からは、恵まれた才能がありながらも常に生き辛さを抱えて日々を過ごしたウールリッチの自虐心が透けて見える気がした。
全体的に活劇性の強く、テンポのよい作品だが、先に「ショウボート殺人事件」を読み終えていたため、終盤にかけての展開に既視感がつきまとった。
Work
原題:Murder on the Night Boat
訳者:沢川 進
収録:『犯行現場へ急げ アメリカ探偵作家クラブ (4) 』創元推理文庫
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