(読了日:2017年4月5日)
特に印象に残った作品についてのみ、感想を書いています。
5. ヘンリイ・スレッサー「花を愛でる警官」
花を愛でる心を持ったフラマー警部は、非常に美しい庭を持つ家に魅せられ、手入れをするマクベイ夫人と親しく言葉を交わす関係に。そんな矢先、彼女は自宅で何者かによって射殺されてしまう。フラマーマクベイ氏を疑うが証拠のないまま時が過ぎ… マクベイ夫人をいつまでも大切に想う気持ちと花を愛でる優しい心がフラマー警部を真犯人へと導くくだりは、読んでいて心が温かくなるのを感じた。ここまで繊細で穏やかなミステリはなかなかないと思われ、強く印象に残った。ヒッチコックがこの作者の個人短編集を編んだと知って興味津々。
16. ゲイリイ・ブランドナー「流れ弾丸」
行きつけのバーのカウンターで隣に座った若者は、結婚二日目で妻が流れ弾丸に当たって即死した時のことを語り始める。彼は犯人の顔も車のナンバーも目撃しながら警察には何も話さなかったという。なぜなら… ラスト数行の勢いのよいひねりが見事。
71. トマシーナ・ウィーバー「果てしなき探索」
トニーが従軍中の孤独に耐えかねた妻ミリーは彼に離婚届を送りつけてすぐ別の男と結婚した。戦地から戻ったトニーは復讐のためにミリーを探し回る。準備万端となったある日、トニーはついに… よくある話と思いきや、ラスト数行でゾーッ!!!
98. エレイン・スレーター 「スーイー・ピル」
人口超過密時代に突入した社会ではピルが何より欠かせない物となっていた。子供は一人までに制限するピル、荒んだ毎日から精神を守るためのピル、必要な栄養を摂るためのピル、そして21歳以上の全員に配られるスーイー・ピル (自殺薬) … スーイー・ピルを配布されていない十代の子どもビリーが服毒死する事件が発生。容疑者はすぐに三人挙がったものの、いずれも動機が欠けていた… 近未来の地球のどこかを舞台としたSFスリラー。心の安らぎが得られない社会で人間は幸せなのか。人生に意義はあるのか。深く考えさせられる哀しい作品。
- 作者: アイザックアシモフ,Isaac Asimov,山本俊子,田村義進,佐々田雅子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/05
- メディア: 文庫
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