Aira's bookshelf

書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

エラリー・クイーン編『世界傑作推理12選 & One 』

(読了日:2018年7月31日)

エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー「「魚捕り猫」亭の殺人」

妻マーゴを亡くして以来、自ら経営するレストランの賑わいまで失ってしまったジャン・ピエール。そんな淋しい彼の心の友は、店の水槽で長らく飼ってきた鰻のフィリップだけだったが、ある日ついに鰻料理を注文する紳士が現れて… アメリカを代表する詩人である作者が書いただけあって、主人公の心情や行動が緻密に描かれており、抒情的な文章も多い。ミステリを読んでいることを忘れそうなほど柔らかな雰囲気が漂う。のんびりとした展開の後、友人である鰻を捌く必要に迫られたことで急に主人公の思考が乱れ始めるところが見もの。読了ツイートを書くうちに面白みが倍加したように感じる作品がたまにあるのですが、今回の鰻の話がまさにそれでした。

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スクリーンの中の女 (1934)

Story

脅迫状を頻繁に受け取るようになった女優マーサ・メドウズの身辺警護を命じられたガルブレイズ刑事は早速撮影所へと足を運ぶ。撮影中も彼女から目を離さなくて済むようにメドウズ主演作の監督に協力を依頼するが、ガルブレイズの隙をついて監督がスタジオを閉め切って撮影を始めてしまい…

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