Aira's bookshelf

書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

マンハッタン・ラブソング (1932)

Story

ジャズ・エイジと大不況に挟まれた1920年代のマンハッタンを舞台に、主人公ウェイドとバーニスの劇的な出会い、激しい恋、愛と憎しみの入り混じった複雑な感情、そして狂い始める二人の運命が描かれる長編。

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Aira's View

一言で感想を述べよと求められたら迷わず「つらかった」と答える作品。読む→挫折→積ん読→もう一度初めから読む… を繰り返した結果、読了に4か月もかかった。ウールリッチに関することなら何でも楽しいウールリッチ研究生 (自称) なのに、これはとにかくしんどかった。でも、ノワールの香り漂うスリラー要素が強くなる第5章あたりからは一気に読めた。後年ウールリッチが才能を開花させるためにはどうしても避けて通れなかった階段であり、ウールリッチをより深く理解したいと願う研究生 (自称) にとってもまた必ず通らねばならない道なのだと思えばこそ、冗長な描写や無茶な筋書も何とか乗り越えられた。ここまでつらい作品はこれで最後にしたいというのが率直な感想。

Work 

原題:Manhattan Love Song
訳者:門野 集 
出版:新樹社『マンハッタン・ラブソング』

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