Aira's bookshelf

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書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

I Love You, Paris (1933)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介)

Story

主人公は社交ダンスの教師をしている中年男性。年の離れた女性生徒に恋心を抱くが、彼女の側からすれば彼の存在は単なる「ダンス教師」でしかなかった。やがて、彼女は同世代の青年と恋に落ちて交際を始めるが…

Aira's View

生活苦と借金返済の重圧に晒されながら、2ヶ月にわたって必死でこの作品を執筆したウールリッチだったが、どの出版社からも相手にされることはなく、原稿は彼自身の手によって街のゴミ箱に捨てられたという。教会で何度も熱心に祈りを捧げたが、神は手を差し伸べてくれなかった… ウールリッチの信仰心が完全に損なわれたのは本作が理由だったのかと思うと、ファンとして苦しい気持ちはあれど、どんな仕上がりの短編だったのか興味を抱かずにはいられない。ウールリッチの自伝に記された概要でしか、この作品に触れることができないのは何とも残念である。