Aira's bookshelf

書棚の片隅でコーネル・ウールリッチ愛をささやく

2019年の読書活動を振り返って

2020 年。例年より何となくさらにおめでたい雰囲気の漂う「令和最初のお正月」が終わったと思ったら、あっという間に二月も過ぎ去ろうとしています。

ルーシー・フリーマン編『殺人心理学 (上) アメリカ探偵作家クラブ傑作選 (5) 』

(読了日:2019年8月21日) ドナルド・A・イエーツ「さらばわが愛、わが人生」 ポッターは長年想いを寄せ続けた女性が別の男性を選んだことをひどく恨み、ついに彼女を殺す決意をする。たった5ページのショートショート。ドラマ性が高いが、女性の正体が中盤で…

ローレンス・トリート編『スペシャリストと犯罪 アメリカ探偵作家クラブ傑作選 (8)』

(読了日:2019年7月25日) まえがき ミステリの世界で警察小説なるジャンルを切り開いた作家ローレンス・トリート。彼の持つ柔和さ・謙虚さ・勤勉さといった、人としての魅力が自然と伝わってくる、優しい言葉遣いに満ちた文章。アメリカ探偵作家クラブ傑作選…

悪夢 (1941)

Story 全面鏡張りの八角形の部屋で錐を使って男を刺し殺すという不気味な夢から覚めたヴィンスは、

ブライアン・ガーフィールド編『犯罪こそわが人生 アメリカ探偵作家クラブ傑作選 (9)』

(読了日:2019年7月17日) ヘレン・マクロイ「燕京奇譚」 年老いたロシア公使ヴォルゴルーギイの若くて美しい妻オルガ・キリーロヴナが一人で馬車に乗って出かけたきり行方不明となった悲しい理由が、彼女を慕っていた陸軍武官アレクセイの活躍のよって明らか…

ヘンリイ・スレッサー『うまい犯罪、しゃれた殺人』

(読了日:2019年7月15日) 「逃げるばかりが能じゃない」 勤め先の信託銀行から20万ドルもの大金を着服したポッターはあっさり自首をして刑務所へ。しかし、金の隠し場所に関してだけは意地でも口を割らず…

ビル・プロンジーニ & ジョー・ゴアズ編『現代アメリカ推理小説傑作選 1 』

(読了日:2019年7月12日) ダン・J・マーロウ「第二の人生」 死刑執行日が近付く中、当の死刑囚である自分よりもひどく精神的に追い詰められていく看守レイモンドを不思議に思う主人公は、臓器提供の意思を神経外科医に伝えた後、銃殺隊の待つ庭へ向かい… 何…

メアリ・ヒギンズ・クラーク編『ショウほど素敵な犯罪はない アメリカ探偵作家クラブ傑作選 (11) 』

(読了日:2019年6月30日) ジョン・L・ブーリン「イーストポートでの再演」 演劇評論家ジャドスンが深夜に編集室である舞台批評を書いていると、その舞台に出演していたベテラン俳優のスピヴィーが突然姿を現し、かつて初舞台での演技を酷評された際、酔った…

パパ・ベンジャミン (1935)

Story 彼の曲を知らぬ者はいないと言われるほど有名なジャズ作曲家兼バンドリーダーであるエディ・ブロックが、ある日の明け方、まるで死人のように黒ずんだ不気味な顔をしてニューオーリンズ警察署に現れる。エディのただならぬ様子に戸惑うばかりの警部補…

小鷹信光編『ブラック・マスク異色作品集』

(読了日:2019年5月10日) フレデリック・ネベル「致命傷」 将来有望な若手ボクサーのジェフは、ネズミ面をした小男フィンクにつきまとわれるようになって以来顔色が冴えない。何らかの弱みを握られて日々金銭を巻き上げられている様子。対チャンプ戦の直前、…

オットー・ペンズラー編『魔術ミステリ傑作選』

(読了日:2019年3月29日) 01. クレイトン・ロースン「この世の外から」 「あの世から」として既読につき、読了ツイート省略。

ミシェル・スラング編『レディのたくらみ アメリカ探偵作家クラブ傑作選 (2) 』

(読了日:2018年10月16日) 01. ジョイス・ハリントン「二人姉妹」 仲良く一緒に暮らす姉妹のマージョリーとオードリーは男性の理想が異常に高いせいでどちらも良縁に恵まれないまま中年の域に。そんなある日、マージョリーは一人で出かけたバーで声を掛けて…

2018年の読書活動を振り返って

2019 年。早くも一ヶ月が過ぎました。巷では「平成最後の〇〇」という言葉をよく目にするようになりました。これからますます新元号への期待も高まっていくのでしょうね。 2018 年。たくさんの出来事がありました。いろいろな変化も。まさかこんなことが… と…

ジョン・ボール編『犯行現場へ急げ アメリカ探偵作家クラブ傑作選 (4) 』

(読了日:2018年10月07日) ロバート・L・フィッシュ「クランシーと飛込み自殺者」 地下鉄駅で見つかった礫死体の身元はタクシー運転手のケリィと判明するがクランシー警部補は他殺と睨む。彼の自宅を調べると小型カメラや写真引き伸ばし機などが見つかり… 主…

EQ 編集部編『英米超短編ミステリー50選』

(読了日:2018年09月14日) トニー・ウィルモット「過去の秘密」 お昼休憩で訪れる公園でよく見かける若い娘と言葉を交わすことをささやかな楽しみにしている市職員スマイズは、その娘が古い車の所有者について熱心に調べ回っていることを職場で偶然に知って…

アイザック・アシモフ他編『ビッグ・アップル・ミステリー マンハッタン12の事件』

(読了日:2018年8月28日) ジェイムズ・ヤッフェ「春爛漫のママ」 甥夫婦に脛を齧られながら暮らす裕福な伯母マーガレットは友人がいない孤独を紛らわせようとして新聞に友人募集の広告を出す。農園主キースと文通で親しくなり、ついに彼がニューヨークへやっ…

エラリー・クイーン編『新世界傑作推理12選』

(読了日:2018年8月9日) P・G・ウッドハウス「エクセルシオー荘の悲劇」 引退した船乗りたちが暮らす下宿屋の一室でガナー元船長が毒殺された。コブラの毒による過失死とされたが、他殺だと確信する女主人ピケットは探偵スナイダーに相談する。生意気な助手…

エラリー・クイーン編『世界傑作推理12選 & One 』

(読了日:2018年7月31日) エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー「「魚捕り猫」亭の殺人」 妻マーゴを亡くして以来、自ら経営するレストランの賑わいまで失ってしまったジャン・ピエール。そんな淋しい彼の心の友は、店の水槽で長らく飼ってきた鰻のフィリッ…

エラリイ・クイーン編『クイーンズ・コレクション 2』

(読了日:2018年6月3日) バーバラ・オウエンズ「軒の下の雲」 既読につき、読了ツイート省略。

スクリーンの中の女 (1934)

Story 脅迫状を頻繁に受け取るようになった女優マーサ・メドウズの身辺警護を命じられたガルブレイズ刑事は早速撮影所へと足を運ぶ。撮影中も彼女から目を離さなくて済むようにメドウズ主演作の監督に協力を依頼するが、ガルブレイズの隙をついて監督がスタ…

Walls That Hear You (1934)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介) Story 主人公は、街で小さな店を営む電気工の男性。ある日、警官が店を訪れ、主人公の弟エディが見るも無残な死体となって路地裏で発見されたことを告げると…

死の治療椅子 (1934)

Story 歯痛に悩むロッジは腕のよい歯科医である友人スティーヴの元を訪れるが、先に来院していた貧しい身なりの患者が治療中におかしな唸り声を上げたあと急死してしまう。調べによると死因は致死量ちょうどの青酸カリ。スティーヴが容疑者として警察に連行…

The Very First Breakfast (1934)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介) Story 料理が大の苦手な新妻ロバーツは、夫のケンに気付かれないよう、近所のレストランから毎日朝食を配達してもらっていたが… Aira's View ウールリッチがこの二人にど…

The Next Is on Me (1934)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介) Story 酒場で知り合った二人の男性。傲慢な女にあしらわれた体験をお互いに愚痴り合っているうちに…

Insult (1934)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介) Story 極めて器量の悪いボードビル (歌・踊り・対話などを組み合わせた軽喜劇の意) 女優のリジーは、ホテルから劇場までの移動中、一人の水兵が自分を尾行していることに…

Between the Acts (1934)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介) Story 離婚成立後、それぞれ新しい恋人と付き合ってきた元夫婦が、とある劇場で偶然の再会を果たす。今の恋人がいかに自分にとって不釣り合いな存在であるかを認識した二…

I Love You, Paris (1933)

(未邦訳作品につき『コーネル・ウールリッチの生涯』(早川書房) を参考に内容を紹介) Story 主人公は社交ダンスの教師をしている中年男性。年の離れた女性生徒に恋心を抱くが、彼女の側からすれば彼の存在は単なる「ダンス教師」でしかなかった。やがて、彼…

エラリイ・クイーン編『EQMM アンソロジー II 』

(読了日:2018年1月3日) レックス・スタウト「ワールド・シリーズの殺人」 客人を接待するために否応なく野球観戦に出かける私立探偵ネロ・ウルフと助手アーチー・グッドウィン。試合は複数の主力選手がエラーを連発する異様な展開に。実は彼らがクラブハウ…

エラリイ・クイーン編『EQMM アンソロジー I 』

(読了日:2017年12月15日) E・S・ガードナー「緋の接吻」 遊び人の富豪として知られる男が愛人との密会に使っていた部屋で額に真っ赤なキスマークを付けた状態で毒殺された。容疑者として拘束された女性の婚約者から依頼を受けた弁護士ペリイ・メイスンが真…

各務三郎編『クイーンの定員 IV 傑作短編で読むミステリー史』

(読了日:2017年10月28日) ジョン・コリア「壜詰パーティ」 女と縁のないフランクは趣味で何かを蒐集して日々の慰めにしようと骨董品古道具店を訪ねる。何でも願いを叶えてくれる妖魔が入った壜を5ドルで買い取り、豪華な宮殿に美女を侍らせて夢のような時を…